I世界情勢

 小泉首相は20:45頃、中国の胡錦濤国家主席ジャカルタ市内のホテルで約50分間会談し、日中関係改善に向け、両国の政府間対話や民間交流を促進していくことで一致。
 首相は中国の反日デモに伴う日本大使館などへの暴力・破壊行為について再発防止を求めた。胡主席は歴史問題に関し、中国国民の感情を傷つけないよう要請した。今月3日に中国で大規模な反日デモが発生して以来、日中首脳が意見交換するのは初めて。
 会談は、首相が中国側宿舎のホテルに胡主席を訪ねる形で行われた。
 首相は、反日デモに関し、中国に在留している日本人や日系企業の安全確保などを念頭に、中国政府が適切な対応をとるよう求めた。
 ただ謝罪や賠償については、首脳会談では求めていないもよう。
 首相の靖国神社参拝については、胡主席が会談で中止を求める中国の立場に言及。首相は内外記者会見で、今後の参拝について「適切に判断していくことに変わりはない」としている。
 首相は会談で、「友好こそが日中両国にとって最も大事である」とし、長期的な視野で日中友好関係を再構築する必要性を強調。
 これに対し、胡主席は、歴史問題に関し日本が今後、中国やアジアの国民感情を傷つけることはしない、台湾問題で「一つの中国」を堅持し台湾独立を支持しないことを行動で示すことを要請。こうした問題について、「日中両国が対等な協議を通じて妥当に処理することが必要だ」と主張した。そのうえで、「広範な分野で日中両国の交流をさらに拡大していこう」と述べた。
 首相は会談後の内外記者会見で、「率直な意見交換ができた。お互い、一時的な対立や意見、反日デモ、嫌中感情に惑わされることなく、日中友好がいかに日中、アジアにとって重要か、共有できるようにしようと会談に臨んだ。胡主席も同じだ。実りある極めて良い会談ができた」と語った。
 17日の日中外相会談では、日中の専門家による歴史共同研究の実施や、青年交流などを盛り込んだ「共同作業計画」の策定などで合意している。
 首相は、東シナ海天然ガス田開発問題についても、話し合いによる解決を探る意向だ。日本政府は、5月に再開予定の日中実務者協議で、中国政府が提案している共同開発の可能性を含めて協議に応じる方針を固めているという。